こんにちは、獣医師ももです。
この記事では、人にうつる猫の感染症とその対策法を解説します。
気をつけるべき猫の感染症は?
感染対策の方法は?
以上のような、猫の感染症の疑問についての質問にお答えします。
・猫の感染症ってどんな病気?
・どうやってうつるの?
・気をつけるべき猫の感染症6選
・予防法は?
・新しい猫を迎え入れる時の注意点
※約5分で読めますので、最後までじっくりとご覧くださいm(__)m
猫の感染症ってどんな病気?
感染症とは、ウイルス・細菌・真菌 (カビ)などの病原体が体に感染して引き起こされる、
「他人にうつる」病気の総称です。
人と同様に、猫の感染症は多く存在し、原因の多くはウイルス性です。
感染するとすぐにくしゃみや咳などの症状が現れるもの、長い潜伏期間を得て発症するもの、症状の軽いもの、重いものなど病原体によって様々なパターンがあります。
どうやってうつる?
感染症の多くは、ウイルスを排出する猫 (感染猫)の鼻水、唾液、糞などに接触することで感染します。
そのため、保護猫や母親が野良猫である場合の子猫などは感染症にかかっている可能性が高いです。
このような猫とは、なるべく接触させないほうが無難です。
新しい猫を家に迎え入れたら、動物病院で感染症の有無を調べてもらいましょう。
・毛繕い
・餌皿やトイレの共有
・くしゃみ、鼻水、目ヤニ、糞尿の接触
・咬み傷・引っかき傷
気をつけるべき猫の感染症6選
数ある猫の感染症の中で特に注意するべき感染症を6つ紹介します。
・猫風邪 (猫ウイルス性鼻気管炎、猫カリシウイルス感染症)
・猫白血病
・猫エイズ
・猫汎白血球減少症
・猫伝染性腹膜炎 (FIP)
猫風邪 (猫ウイルス性鼻気管炎、猫カリシウイルス感染症)
人の風邪症状 (くしゃみ、鼻水、目ヤニ、発熱、結膜炎など)に似た症状を示すため
「猫風邪」と呼ばれています。
猫風邪は、猫ウイルス性鼻気管炎と猫カリシウイルス感染症の2つの病気の総称です。
猫ウイルス性鼻気管炎はヘルペスウイルスが原因であり、一度感染すると猫の体内に
潜伏感染するため、免疫が低下した時に再発する可能性があります。
感染猫の唾液や鼻水に接触することで感染します。
猫カリシウイルス感染症は、カリシウイルスが原因の感染症です。
くしゃみ、鼻水、目ヤニ、発熱、結膜炎に加えて、口内炎、舌炎、肺炎を併発する可能性があります。
感染猫の唾液や鼻水に接触することで感染します。
現在、猫風邪に有効な治療薬はありません。
治療法は、まずは点滴を行い栄養や水分補給を実施します。対症療法を行い二次感染を防ぎつつ、
体力の回復を待ちます。
猫白血病ウイルス感染症
猫白血病ウイルスは、血液を作る臓器や骨髄に感染し、血液のがん (白血病)を引き起こします。
初期症状は、発熱、元気・食欲の低下など一般的な風邪と似ていますが、進行すると貧血になります。
ウイルスに感染してから発症するまでの時間は様々で、長い場合は数年間無症状の場合もあります。
しかし、発症すると白血病やリンパ腫になり、数ヶ月〜1年以内に死亡してしまいます。
感染は、感染猫の唾液や糞尿に接触することで成立します。
野良猫はこのウイルスを保有している可能性が高いため、必ず猫は完全室内飼いを徹底しましょう。
残念ながらウイルスに対する治療法はないため、貧血に対する輸血など対症療法が基本となります。
猫エイズウイルス感染症
猫エイズウイルスは、免疫を司るリンパ球に感染し、免疫機能の低下を引き起こします。
初期症状は、発熱、リンパ節の腫れ、食欲低下などがありますが、10年近く無症状の猫も存在します。
発症する免疫機能の低下から、口内炎や結膜炎、鼻炎など様々な感染症に罹りやすくなります。
最終的には体力が低下し、白血病を発症し命を落とすケースもあります。
感染は、ケンカの引っかき傷や咬み傷から唾液に接触することで成立します。
繰り返しですが、野良猫はこのウイルスを保有している可能性が高いため、必ず猫は完全室内飼いを徹底しましょう。
残念ながらウイルスに対する治療法はないため、症状に合わせて抗生物質や抗炎症剤を投与し
対症療法を行います。
猫汎白血球減少症
猫汎白血球減少症ウイルスに感染すると、免疫機能に重要な白血球の数が急激に低下します。
感染から発症までの期間は非常に短く、数日〜1週間以内に食欲低下、嘔吐、下痢などの消化器症状が
見られます。
特に仔猫は十分な体力がないため、感染から数日で命を落とす場合も多いです。
感染は、感染猫の糞尿が口に入ることで成立します。
ウイルスの感染力が非常に高いため、自宅で複数の猫を飼育している場合は、定期的に
トイレの掃除を済ませるようにしましょう
治療法は、症状に合わせて抗生物質や抗炎症剤などを投与します。
猫伝染性腹膜炎 (FIP)
新型コロナウイルス感染症 (COVID-19)で一躍有名となったコロナウイルス。
猫伝染性腹膜炎 (FIP)も猫特有のコロナウイルスが原因です。 *人には感染しません。
猫の体内でコロナウイルスが毒性の高いFIPウイルスに突然変異し、発症すると考えられています。
症状の多くは、胸やお腹にお水が溜まったり、痙攣・麻痺などです。
猫にとって最も恐ろしい感染症がこの猫伝染性腹膜炎 (FIP)です。
感染は、感染猫の糞便と接触することで成立します。飼い主の服や靴に付着したウイルスから
感染する場合もあるので、他の猫と触れ合った場合は、注意が必要です。
治療法はなく、症状を抑えるためにステロイドや抗生物質、免疫を高めるためにインターフェロンという注射を打つ場合もあります。
*近年、FIPに効く効果的なウイルス薬が開発され、現在臨床研究の段階です。
今後はFIPは薬で治る病気になるかもしれません。国内でも一部の動物病院で取り扱いをしているため、
かかりつけ医にご相談ください。
最後に
いかがでしたでしょうか?
愛猫を感染症から守るためには、必ず室内外を徹底して、かかりつけ医と相談の上、定期的なワクチン接種を行いましょう!
今後もペットの健康に関する情報を発信していきます。
最後までお読み頂きありがとうございました!
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