こんにちは、獣医師ももです。
この記事では、犬のクッシング症候群 (副腎皮質機能亢進症)を解説しています。
クッシング症候群の治療についても分かりやすく解説していますのでゆっくりとご覧ください。
クッシング症候群って何?
症状、治療法を教えてください。
以上のような、犬のクッシング症候群についての質問にお答えします。
・クッシング症候群ってどんな病気?
・クッシング症候群になりやすい犬種
・クッシング症候群の治療法
・普段の生活で気をつけること
一つずつ順に丁寧に解説していきます。
クッシング症候群は、人では約100万人に1〜2人程度の確率ですが、
犬においては約500頭に1頭と非常に高い確率で発生します。
クッシング症候群ってどんな病気?
クッシング症候群とは
クッシング症候群の別名は副腎皮質機能亢進症といいます。
副腎とは、腎臓の近くにある左右一対の小さな臓器です。
副腎は、その皮質と髄質と呼ばれる部位から、様々なホルモンを分泌しています。
クッシング症候群は副腎からホルモンが過剰に分泌される疾患です。
副腎由来のホルモンは、生命維持にかかせないものですが
過剰に分泌されると、代謝異常・免疫力の低下などの障害が発生します。
クッシング症候群の症状
副腎から過剰に分泌されたホルモンが原因で以下のような症状がみられます。
・水を多く飲むようになった
・おしっこの量・回数が増えた
・食欲が増えた
・毛がよく抜け、皮膚が薄くなった
・お腹周りが膨れてきた
・以前より動きたがらなくなった
クッシング症候群の種類
クッシング 症候群には、大きく分けて2種類のタイプが存在します。
下垂体性クッシング症候群
一つ目は、下垂体性クッシング症候群です。
*犬のクッシングの90%近くが、この下垂体性クッシング症候群のタイプです。
脳の下垂体は、副腎のホルモン分泌を促進させる
副腎皮質刺激ホルモンというホルモンを分泌しています。
脳の下垂体にがんが発生して、がん細胞が過剰に副腎皮質刺激ホルモンを分泌すると
副腎のホルモン分泌が異常に増加してしまいます。
下垂体が腫大して脳を圧迫し、神経症状や視覚障害などを引き起こす恐れがあります。
副腎性クッシング症候群
二つ目は、副腎性のクッシング症候群です。
副腎そのものにがんが発生し、副腎のがん細胞から
異常に副腎ホルモンが分泌されます。
がん細胞が血管に浸潤し、出血や血管の詰まりを起こして突然死する恐れがあります。
クッシング症候群になりやすい犬種
クッシング症候群になりやすい犬種は以下の犬種です。
・トイ・プードル
・ミニチュア・ダックス
・ボストン・テリア
・ビーグル
・ボクサー犬種
クッシング症候群は中齢以降 (7〜9歳ごろ)からリスクが高まります。
上記の犬種を飼育されている方は特に注意しましょう。
トイ・プードルがなりやすい病気については以下の記事で詳しく紹介しています。
≫ 【トイ・プードル飼い必見!】トイ・プードルが絶対に気を付けたい病気5選【獣医師解説】
クッシング症候群の治療
主な治療法
クッシング症候群の主な治療法として、
①薬による治療、②手術でがんを取り除く、③放射線治療 などが挙げられます。
②の手術でがんを取り除くことが根本的な治療法ですが、
完全に切除できないことも多く、難易度も高い手術です。
そのため、①の薬による治療が一般的によく行われます。
薬による治療では、ホルモンの産生を抑えたり副腎の細胞を破壊することで
症状の改善を狙います。
治療費はどのくらいかかる?
アニコム損保の調査によると、犬のクッシング症候群の平均年間通院回数は5回程度、
通院1回あたりの平均単価は13,500円程度です。
合計すると、約6〜7万円程度となります。
*大学病院などで、手術や放射線治療などを受けると約40〜60万円程度の費用がかかります。
普段の生活で気をつけること
大切なことは病気の早期発見です。
愛犬をよく観察して、先ほど紹介したクッシング症候群の主な症状がみられたら
すぐに獣医師に相談してください。
クッシング症候群と診断されて治療を始めたら
獣医師に指示された通りに薬を与えましょう。
何か異常(元気がない、グッタリしている、食欲がない、嘔吐や下痢をするなど)がみられたら
投薬を中止し、速やかにかかりつけ医を受診してください。
この記事が少しでもお役に立てたら幸いです。
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