こんにちは、獣医師もも (@juishi_momo) です。
この記事では、ロイヤルカナンの小型犬用療法食フード:「低分子プロテイン」について解説しています。
フードの成分と原材料、フードの特徴、療法食の対象となる病気などを分かりやすく解説していますのでゆっくりと
ご覧ください!
・「低分子プロテイン」って何ですか?
・食物アレルギーの犬にオススメのフードは?
・食物アレルギーの原因は?
以上のような、ロイヤルカナンの小型犬用療法食フード「低分子プロテイン」に関する質問にお答えします。
・犬を初めて飼われる方
・愛犬に長生きして欲しい方
・犬の食物アレルギーに悩んでいる方
・犬の食物アレルギーにオススメのフードを知りたい方
・犬の「低分子プロテイン」について知りたい方
犬の食物アレルギーとは
食物に対する免疫系の過剰な反応
犬の食物アレルギーとは、ドッグフードや含まれる添加物に対して、免疫系が過剰に反応することで起こります。
食物アレルギーの特徴はフードに含まれる蛋白質、中でも分子量が大きい蛋白質(高分子蛋白質)に対して過敏反応が起こることがほとんどです。
よく原因として挙げられる食べ物は、肉類(牛、鶏など)、卵、乳製品、
穀類(大豆、トウモロコシ、小麦など)です。
食物アレルギーの主な症状
主な症状は、皮膚が赤くなったり痒くなる皮膚症状や下痢などの消化器症状がみられます。
症状の強さは季節に関係なく、特に顔周りや肛門周囲、先端部(四肢の先、尻尾、陰部周辺など)に
症状が強く現れます。
食物アレルギーの主な治療法
食物アレルギーは食事療法が主な治療法となります。
アレルギーの原因が特定されている場合は、その原因物質を一切食べさせないことが重要です。
アレルゲンになりにくい分子量が小さいタンパク質(加水分解蛋白)や、今まで口にしたことのないタンパク源
(例えばカンガルー、七面鳥など)やアミノ酸、オリゴペプチドを使用した食事療法も有効です。
食物アレルギーについては以下の記事で詳しく解説しています。是非ご覧ください!
≫ 【猫もツライよ!】猫のアレルギー完全版【獣医師が徹底解説】
犬の「低分子プロテイン」とは
食物アレルギーの犬のために調整された療法食
犬の「低分子プロテイン」とは、ペット用品の製造販売等を行うフランスの会社「ロイヤルカナン」が
発売する、食物アレルギーの犬に与えることを目的として特別に調整された食事療法食です。
ロイヤルカナンから、食物アレルギーの犬用に別の種類の「アミノペプチドフォーミュラ」という
療法食も販売されています。
「アミノペプチドフォーミュラ」の詳しい解説は以下の記事からどうぞ!
≫ 【ロイヤルカナン】犬の「アミノペプチドフォミューラ」を獣医師解説
犬の「低分子プロテイン」の特徴
犬の「低分子プロテイン」は食物アレルギーの犬に与えることを目的として特別に調整された療法食です。
このフードのタンパク源は食物アレルギーの原因となりにくい加水分解したタンパク質を使用しています。
犬の「低分子プロテイン」の成分
タンパク質 | 6.2g | カリウム | 0.23g | EPA + DHA | 90mg |
脂肪 | 4.1g | リン | 0.16g | L-カルニチン | – |
食物繊維 | 1.1g | マグネシウム | 0.02g | タウリン | 0.05g |
灰分 | 2.2g | 鉄 | 3.8mg | アルギニン | 0.44g |
水分 | 2.4g | 銅 | 0.39mg | ビタミンE | 15.4mg |
炭水化物 | 10.6g | 亜鉛 | 4.4mg | ビタミンC | 8.0mg |
カルシウム | 0.2g | ナトリウム | 0.26g | ビタミンB群 | 21.18mg |
単位/100kcal
代謝エネルギー:389kcal/100g
犬の「低分子プロテイン」の原材料
・米、加水分解大豆タンパク質 (消化率90%以上)、動物性油脂、加水分解レバー (鶏、七面鳥)、
ビートパルプ、大豆油、魚油 (EPA+DHA源)、フラクトオリゴ糖、ルリチシャ油、マリーゴールドエキス
(ルテイン源)、アミノ酸類、ゼオライト、ポリリン酸ナトリウム、ミネラル類、ビタミン類、保存料、
酸化防止剤など
*原材料の調達により、原材料を変更する場合があります。
タンパク質成分が加水分解されて、分子量が小さくなっていることが分かります。
ここで重要なことは
分子量が小さい = 食物アレルギーの原因になりにくい
ということです。
犬の「低分子プロテイン」のポイント
①加水分解タンパク質使用
→高消化性で食物アレルギーの原因となりにくい低分子ペプチド源として
加水分解大豆タンパク質を使用しています。
②尿結石に配慮したフード
→尿中の相対化飽和度が高いと尿の濃度が高くなり、結石ができやすくなります。
尿中の相対化飽和度を低く保つためにミネラルなどの栄養成分が調整されています。
③皮膚のバリア機能を維持
→皮膚に配慮した成分を配合し、皮膚本来が持つバリア機能を維持します。
④歯の健康維持に配慮
→歯の健康を維持するために、ポリリン酸ナトリウムを配合しています。
1日給与量の目安
現在の 体重 (kg) | 2 | 4 | 6 | 8 | 10 | 12 | 14 | 18 | 20 | 30 | 40 |
痩せ気味 | 54g (0.7) | 91g (1.1) | 123g (1.5) | 153g (1.9) | 181g (2.3) | 207g (2.6) | 232g (2.9) | 281g (3.5) | 304g (3.8) | 412g (5.2) | 511g (6.4) |
標準 | 48g (0.6) | 80g (1.0) | 108g (1.4) | 134g (1.7) | 159g (2.0) | 182g (2.3) | 205g (2.6) | 247g (3.1) | 267g (3.3) | 362g (4.5) | 449g (5.6) |
太り気味 | 41g (0.5) | 69g (0.9) | 94g (1.2) | 116g (1.5) | 137g (1.7) | 157g (2.0) | 177g (2.2) | 213g (2.7) | 231g (2.9) | 313g (3.9) | 388g (4.9) |
表内のカッコ内はカップ数を表します。 *1カップ=200cc
犬の「低分子プロテイン」の対象となる病気
犬の「低分子プロテイン」の対象となる主な病気は以下の通りです。
< 低分子プロテインの適応となる病気>
・食物アレルギーによる皮膚、消化器症状
・食事反応性腸症
・抗菌剤反応性腸症
・炎症性腸疾患 (IBD) / ステロイド反応性腸症
・膵外分泌不全 (EPI) (タンパク質による負荷を提言したい場合)
・慢性下痢
・大腸炎
・外耳炎
食物アレルギーはフードの変更だけ治ることもあり、
「低分子プロテイン」や「アミノペプチドフォーミュラ」に変更してから食物アレルギーが完治したという方も
少なくありません。
「アミノペプチドフォーミュラ」の詳しい解説は以下の記事からどうぞ!
≫ 【ロイヤルカナン】犬の「アミノペプチドフォミューラ」を獣医師解説
反対に、犬の「低分子プロテイン」の使用が推奨されない主な病気は以下の通りです。
・膵炎
・高脂血症
上記2つの病気には「低分子プロテイン」のようなやや高脂肪のフードは推奨されません。
犬の「低分子プロテイン」はどこで買う?
療法食は動物病院での購入が基本
現在、ロイヤルカナンを含む様々なペット用療法食がAmazonや楽天市場、各種薬局などで
購入可能です。
しかし、動物病院の窓口での購入は、獣医師と相談しながら購入を決められるメリットがあります。
そのため、初回の購入はかかりつけの動物病院での購入をオススメします。
忙しくて中々動物病院に行けない方や、2回目以降の購入の方、Amazonや楽天のポイントを利用したい方などはAmazonや楽天の通販サイトがオススメです。
(大手通販サイトのため品質が保証されているためです。)
以下に、犬の「低分子プロテイン」の執筆時点で最安値の
Amazonと楽天のリンクを載せておきます。
ご入用の方は以下のリンクからどうぞ!
まとめ
いかがでしたでしょうか?
犬の「低分子プロテイン」とは、食物アレルギーの犬のために
特別に調整された食事療法食です。
食物アレルギーの原因となりにくい、加水分解されたタンパク質源を使用しているのが
大きな特徴です。
食物アレルギーはフードの変更で完治することもあるので
一度試されてみてはいかがでしょうか?
この記事が少しでもお役に立てたら幸いです。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
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